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■オリジナルプリント
紙の仕様により、黄変による劣化が激しい旨は上記でお話しましたが、この黄変は1990年製より以前の物に必ず見られる現象です。逆に言えば、黄変のないものはオリジナルではない、復刻版であると判断することができます。また、歴史が浅いにも関わらず、オリジナルは極端に少ないのが現状です。
先の劣化損失だけでなく、シルクスクリーンプリントは大量生産に向かない為、毎回少部数しか製作されなかった点や、キューバの企業国営化に伴い、広告や商業ポスターが必要とされなくなった点も大きく影響しています。ポスターは常に必要最低限の枚数しか刷らず、その用途を終えた後には処分され、配布や販売はされませんでした。現存する数少ないオリジナルは、黄変や破れ等の劣化損傷が激しく、高価でありながらキューバポスターの核とも言えるその発色が損なわれているため、美術的観点からはあまり好まれていません。ただし1995年以降の作品には、まだまだコンディションの良いオリジナルが存在します。当店ではオリジナルに関して、発色、損傷具合、購入後マット額装であれば充分観賞可能であると判断した場合のみ入荷しております。

■リプリント(復刻版)
上記によりオリジナルが入手困難な現在、当店でもリプリントのポスターが主流となる訳ですが、その時期や状態によって価値は変わってきます。まず、映画ポスターを製作していたICAIC(Instituto
Cubano De Arte e Industria Cinematografica・革命後に開設されたキューバ映画芸術産業庁)が90年代のドル合法化に伴い、シネマポスターに芸術的価値を見出したことが起点となります。
彼等はICAICの記念日に合わせたアニバーサリー復刻や、国際イベントへ参加するための出典用復刻、街頭や商店掲示用のディスプレイ復刻、一般向けの美術観賞用復刻など、様々な目的で少部数(1度に50〜200部程度)の復刻を繰り返してきました。これらは主に1990年〜1998年の間に製作され、特にアニバーサリー復刻や美術観賞用復刻には、コンディションの良い物が多く存在します。当店ではこの1990年〜1998年の間に製作されたリプリントを1stリプリントと呼称し、主にコンディションの良いアニバーサリー復刻や美術観賞用復刻を買付けています。
特筆すべき点として、復刻の中の1つ、1998年製作のICAICアニバーサリー復刻があります。これは見た目にも大きく異なる点があるため、市場でも価格差が生じています。この1998年の記念復刻は、ハバナの古いスライドから人気作家の作品をリストアする事を目的に、ドミニカ共和国のデザイナーを結集して特別製版したものです。その為この復刻では従来の復刻物との差異を保つため、且つ限定版の記念復刻である証として、画面左下にICAICの復刻印をプリントし、尚かつ画面内に記述されていた作家のサインを削除して生産するという形がとられました。
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| ↑画面左下に作家のサインがプリントされています。 |
↑左下の作家サインが削除され、余白にICAICの復刻印がプリントされています。 |
ところが、作家のサイン記述を求むファンや、オリジナルに近いという観点から復刻印のない物が強く望まれ、この刻印入りリプリントは限定版にも関わらず、市場での評価は低い結果となりました。現在でも生産時期を問わずに、サイン記述有り・刻印無しのオリジナルと同仕様のリプリントが好まれ、こちらの方が人気・価値共に高く評価されています。当店ではオリジナルにより忠実という観点から、このサイン記述有り・刻印無しのリプリント製品を中心に買付けています。
現在、当店では1stリプリント(1990年〜1998年)を主に、2ndリプリント(1999年〜2003年)、3rdリプリント(2003年以降〜)、極わずかですが1995年以降に製作されたオリジナルも入荷しております。全て現地ICAICのワークショップで製作された正規品であり、当店は日本での総輸入元を務めております。この1stリプリントはストックが無くなり次第、順次2nd・3rdリプリントに切り替わる予定です。キューバのシルクスクリーンポスターは全てハンドメイドによる価値ある1品/アートです。オリジナル、1st、2nd、3rd、どの時代を通してもそのクオリティーや手作りの良さは普遍です。
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